■随時改定が必要となるとき
被保険者の報酬月額が大幅に変動して、次の@〜Bのすべての条件に当てはまるときは随時改定に該当するため、事業主は年金事務所に「報酬月額変更届」の提出が必要になります(健康保険組合や厚生年金基金に加入している場合は、それぞれ届を提出)。
この届は専用の用紙の他に、フロッピーディスク(FD)や光磁気ディスク(MO)などの磁気媒体により提出することや、インターネットを経由した電子申請もできます。
年金事務所などにおいて、変動月から4ヵ月目に標準報酬月額の随時改定が行われ、保険料や保険給付の額が変更になります。
(1)固定的賃金が変動、または給与体系の変更があった
固定的賃金の変動とは、継続して支給される一定額の賃金や手当てに、昇(降)給や支給額変更、日(時)給の基礎単価や請負給・歩合給などの単価・歩合率の変更などがあった場合をいいます。
給与体系の変更とは、日給制から月給制へ、月給制から歩合制になったとき、家族手当などが新設され実際に支給されるようになったときなどをいいます。
(2)変動月以後引き続く3ヵ月間の各月の支払基礎日数が17日以上ある
昇(降)給などにより支給の変動があった月を変動月といいます。遡り昇給などで差額を支給したときは、実際に差額を支給した月が変動月になります。
この変動月以後引き続く3ヵ月間すべての月の支払基礎日数が17日以上あることが必要です。 1ヵ月でも17日未満の月があるときは、随時改定に該当しません。
(3)変動月以後、引き続く3ヵ月間の報酬総額の平均額が、現在の標準報酬月額に比べ2等級以上の差が生じた
変動月から継続した3ヵ月間の報酬の平均による標準報酬月額等級とすでに決定されている標準報酬月額等級との差が2等級以上ある場合は随時改定に該当します。固定的賃金に多少でも変動があれば、残業手当など非固定的賃金を加えて結果的に2等級以上の変動になる場合でも該当します。
ただし、病気などで休職中の被保険者や、育児・介護休業中の被保険者などで、一時的に報酬額が変動する場合は、随時改定に該当しません。
■パートタイマーの随時改定
短時間就労者の随時改定時における標準報酬月額の算定の場合も、継続した3ヵ月のいずれの月も支払基礎日数が17日以上であることが必要となり、定時決定で算定対象としている15日以上17日未満の月は随時改定の場合は対象となりません。
■随時改定に該当しないケース
固定的賃金に変動がない場合は、非固定的賃金の変動だけで2等級以上の差が生じたとしても、随時改定に該当しません。
また、固定的賃金が増えたにもかかわらず、非固定的賃金が減ったため平均報酬額が下がるようなときや、逆に固定的賃金は減ったにもかかわらず、非固定的賃金が増え、平均報酬額が上がるような場合も、たとえ2等級以上の差が生じても随時改定には該当しません。
■上・下限の取扱い
健康保険・厚生年金保険ともに標準報酬等級の差が1等級の場合は原則として随時改定となりません。しかし、それぞれに標準報酬月額の上下限が設けられているため、最高(低)等級の1等級下(上)に該当する人は、どんなに報酬月額に増額(減額)があっても1等級以上の差が生じないことになります。このような場合、例外として1等級の差であっても、実質的に2等級以上の変動が生じたとみなして、随時改定を行います。
■保険者が行う修正平均
変動月以降の継続した3ヵ月のいずれかの月に昇給差額の遡り支給などがあった場合、3ヵ月の報酬の平均額で標準報酬月額を改定すると、実際の報酬額とかけ離れてしまうことになります。
そこで、定時決定の場合と同様に、算定結果が著しく不当になる場合は、年金事務所などの保険者が特別な算定方法(修正平均)により、標準報酬月額を改定します。

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