日本年金機構は、去る4月15日に開催された第19回日本年金機構評価部会で、平成25年度の事業計画を公表した。それによると、年金記録問題への対応を強化するとともに、以下の事項に重点を置いて計画的に取り組むこととしている。
■年金記録問題への対応
年金記録問題の解決に向けて、「気になる年金記録、再確認キャンペーン」の周知と広報を進め、年金記録の漏れや誤りが気になる人に対し確認の呼びかけを行う。
またねんきんネットでは、受給者向けの見込額試算をスタートするとともに、スマートフォンにも対応できるようにするなどのサービスを充実を図る。
厚生年金基金記録との突合せを進め、25年度中を目途に必要な記録訂正を行う。
1人に複数の基礎年金番号が払い出され、年金記録が分かれて管理されている場合は、他と区分する仮基礎年金番号による別管理を実施する。
■国民年金の適用事務の確実な実施
国民年金の適用では、住基ネットにより把握した20歳、34歳、44歳到達者に対して届出勧奨を行い、届出がない場合の資格取得手続きの迅速化を図る。
■未適用事業所の適用の促進
法人登記や雇用保険の情報を活用したシステムによる突き合わせや、公共職業安定所や地方運輸局などが保有する社会保険加入状況の情報収集と活用により、未適用事業所の効率的かつ正確な把握に努める。
また、平成23年度末時点で把握した未適用事業所について、従業員の多い事業所から優先的に加入指導を実施し、3年以内に半減させることを目標とする。
さらに、外部委託による重点的加入指導を実施し、複数回実施しても加入見込みがない事業所に対しては、立入り検査の上、加入手続きを実施する。加入指導に従わない悪質な事業所に対しては、告発と事業所名の公表を行う。
■事業主からの適正な届出の促進
適正な届出の促進としては、資格取得届の届出漏れが多い傾向にある労働者派遣業や短時間就労者、外国人就労者を多く使用する事業所に対し、重点的な指導を行う。
また、全喪受付時に第三者の確認のない書類を添付している事業所に対しては、一定期間経過後に事業実態を把握し、違法な脱退を防止する。
事業主から一定期間以上遡及して提出された資格喪失届や、降給による月額変更届について、添付書類により届出内容の事実関係の確認が徹底して行われる。
年金事務所から事業主に対して、被保険者資格の取得と喪失、標準報酬の決定と改定に係る通知が行われたときは、被保険者へ確実に通知するよう指導する。
総合調査と定時決定の事業所調査については、すべての適用事業所を対象に4年に1回実施する。また、一括適用制度や本社管理の利用促進を図ることにより、短期間の加入漏れの発生を防止する。
■厚生年金保険料等の徴収対策
保険料の徴収対策では、口座振替を利用するよう事業主に協力を求める。
また、繰り返し納付指導したにも係わらず、納付指導に応じない事業所には、滞納処分を迅速かつ確実に実施して保険料の確保に努める。さらに、必要に応じて国税庁に委託する仕組みを積極的に活用する。
社会保険の適用に関しては、業界や従業員規模によっては、まだ適切な取扱いがなされていないケースが多いが、全ての事業所を対象に事業所調査を行うなど、徹底した対応が行われることとなる。 |