社会保険の今ホットな話題

 

  建設業の社会保険加入促進  

 
 国土交通省と厚生労働省の両省は、建設業における従業員の社会保険加入を促進するため、今年11月から建設業の許可・更新時や抜き打ち検査などで社会保険の加入状況を確認する制度を導入する方針を明らかにした。改善されない場合は、営業停止などの処分の対象とする。
 建設業者が公共事業の入札に参加するためには、経営事項審査を受ける必要があるが、このとき健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入していないと、評価を減点されることとなる。
 従来、社会保険の加入状況に関する審査項目は「雇用保険未加入」と「健康保険および厚生年金保険未加入」の2項目となっていたが、平成24年7月からは健康保険と厚生年金保険に分割し、「雇用保険未加入」、「健康保険未加入」、「厚生年金保険未加入」の3項目に見直している。
 また、未加入企業に対する減点幅も見直されている。従来2項目に該当する企業には、各項目につき30点ずつ減点し最大でマイナス60点としていたが、7月からは各項目につきマイナス40点とし、最大減点数を120点に拡大するなど、未加入企業に対する評価の厳格化が図られている。
 11月からは、さらに建設業担当部局による立入検査や、建設業の許可・更新時の加入状況確認、加入企業に対する監督処分などを実施し、加入の徹底を促す。
 具体的には未加入企業に対しては、文書により保険加入を指導し、一定期間後加入状況の報告を求める。指導後も加入しない場合は、厚生労働省(日本年金機構、都道府県労働局など)の社会保険担当部局へ通報する。
 建設業担当部局においては、営業所への立入検査を行い労働者名簿や賃金台帳、保険関係書類などを確認することにより、企業単位、労働者単位での保険の加入状況を確認する。
 未加入企業に対しては、文書により加入指導をし、一定期間後に加入状況の報告を求める。指導後も加入しない場合は、厚生労働省の社会保険担当部局へ通報する。
 建設現場への立入検査では、下請企業に対する保険加入に関する指導がなされていない元請企業には、注意喚起などを行う。
 建設業の許可を新規に申請するときや、更新の申請をするときには、建設業許可申請書を申請することになっているが、11月から新たな様式が定められ、3保険の加入状況を記載して提出することになる。
 加入状況の確認の結果、未加入企業に対しては、文書により加入を指導する。指導に従わない場合は、厚生労働省の社会保険担当部局に通報する。
 社会保険担当部局への通報後、社会保険担当部局が加入勧奨や指導を行うが、これにも従わない場合は、強制加入の手続きを行うことや、建設業担当部局が建設法に基づく指導または監督処分を行うことが予定されている。
 国土交通省の調査によると、建設労働者の20%が雇用保険、40%が健康保険や厚生年金保険に加入していないことが明らかになっている。
 社会保険未加入は、技能労働者の処遇を低下させるとともに、若年入職者減少の一因となっているとして、国土交通省は今後5年間で加入率100%を目指すことを目標に掲げている。