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  労災保険料率の改正  

 
 厚生労働省は12月5日、労災保険率の改正を主な内容とした平成24年度改正のための徴収則改正法を労働政策審議会に諮問した。
 労災保険率は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づき、将来にわたって労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるように、過去3年間の災害率を考慮して、事業の種類ごとに厚生労働大臣が定めることとされている。
 また、昭和61年度の見直し以来据え置かれているメリット制の適用範囲については、この間のメリット制が適用される事業の割合の変化などを踏まえ、適用範囲の拡大が行われるとともに、新たなメリット増減率が定められる予定。

改正(案)の概要
(1)労災保険率の改正
  労災保険率は、55業種に分類して設定されている。現在、平均労災保険率は「1000分の5.4」だが、改定予定の平均労災保険率は「1000分の4.8」となり、「1000分の0.6」引き下がる。
  また、引上げ幅の上限は1000分1とされ、激変緩和前の労災保険率が現行の労災保険率より高い場合であっても、業務災害の所要労災保険率が平成21年度より低下している業種については、労災保険率は据置とされる。
  率の最低は「1000分の2.5」で、最高は「1000分の89」となる。今回引上げとなるのは8業種、据置は12業種、引き下げは35業種などとなっている
(2)労務費率の改正
  請負による建設の事業に係る賃金総額の算定に当たり、請負金額に乗ずる労務費率が改正される。労務費率の改定の幅は、労働費率が変動することによって労災保険率に影響することから、最大1ポイントとされた。現行の9事業のうち、7事業が引下げ、2事業が据置きとなる。
(3)第二種特別加入保険料率の改正
  一人親方等の特別加入に係る第二種特別加入保険料率を改正する。
 18事業のうち7業種が引下げ、8業種が据置き、3業種が引上げとなる。
(4)メリット制の改正
@一括有期事業及び単独有期事業に関するメリット制の適用要件のうち確定保険料の額に係るものを、現行の「100万円以上」から「40万円以上」に緩和し、適用対象が拡大される。
A「一括有期事業であって、連続する3保険年度のいずれかの保険年度の事業に係る確定保険料の額が40万円以上100万円未満であるもの」に係るメリット制の増減幅(増減率)を、「±30%」とするなどの新設が行われる。
 @により年間の確定保険料が40万円以上100万円未満の事業が新たにメリット制の対象となるが、Aにより、そのうちの一括有期事業については、通常は「±40%」とされるメリット制の増減幅が、「±30%」に緩和される。
Bメリット制の収支率の算定基礎から除外する特定疾病に「著しい騒音を発生する場所における業務による難聴等の耳の疾患(騒音性難聴)」を追加する。
 同省では、同審議会の了承を得た後省令の改正を行い、平成24年4月1日から施行する予定としている。