育児休業給付や教育訓練給付の拡充などを盛り込んだ雇用保険制度改正の法律案要綱が、1月16日の労働政策審議会で了承され、厚生労働大臣に答申された。
今回の制度見直しの背景としては、これまで、経済や雇用情勢を踏まえて実施してきた、@雇止め離職者の給付日数の拡充、A個別延長給付、B常用就職支度手当の対象者の追加、C失業給付等積立金からの借入れなどの暫定措置期限が今年度末までとなり、来年度以降の取扱いについて検討することが求められていることがある。
また日本再興戦略では、非正規労働者の若者がキャリアアップやキャリアチェンジできるような教育訓練の受講を始め、社会人の学び直しを促進するための制度見直しの検討を行うこととされていた。
さらに社会保障制度改革国民会議の報告書には、育児休業期間中の支援強化が盛り込まれ、育児休業給付の見直しの検討が求められていた。
厚生労働省では、今回の答申を踏まえて改正法案を作成し、平成26年通常国会に提出する予定としている。法律案要綱の主な内容は以下のとおり。
1.育児休業給付<平成26年4月1日施行>
1歳未満の子を養育するための育児休業を取得する場合に、休業開始後6ヵ月間支給される育児休業給付(休業開始前賃金の50%を支給)について、休業開始前の賃金に対する支給割合を67%に引き上げる。
2.教育訓練給付の拡充と教育訓練支援給付金の創設<平成26年10月1日施行>
(1)教育訓練給付(受講費用の2割を支給、上限10万円)を拡充し、中長期的なキャリア形成を支援するため、専門的・実践的な教育訓練(原則2年。資格につながる場合などは最大3年)として厚生労働大臣が指定する講座を受ける場合に、給付を引上げる(受講費用の4割)。
また、資格取得などの上で就職に結びついた場合は、受講費用の2割を追加的に給付する。
※受講費用80万円までの講座を支給対象する(1年の給付上限48万円)。対象者は10年以上の被保険者期間を有する者(初めて教育訓練を受ける場合は2年以上の被保険者期間を有する者)
(2)45歳未満の離職者が(1)の高度な教育訓練講座を受けて学び直す場合、訓練期間中は離職前賃金に基づき算出した額(基本手当の半額)を給付する。
(平成30年度までの暫定措置)
3.就業促進手当(再就職手当)の拡充
早期に再就職した雇用保険の受給者が、離職前の賃金と比べて再就職後の賃金が低下した場合には、6ヵ月間職場に定着することを条件に、現行の給付(基本手当の支給残日数の50%または60%相当額を一時金として支給)に加えて、低下した賃金の6ヵ月分を一時金として追加的に給付する。
4.平成25年度末までの暫定措置の延長
<3年間の延長>
解雇、雇止めなどによる離職者の所定給付日数を60日間延長する個別延長給付を、要件を厳格化した上で延長する。
雇止めなどの特定理由離職者について、解雇等の者と同じ給付日数で基本手当を支給する暫定措置を延長する。 |