厚生労働省は8月23日に、「社会保障に関するアンケート」の調査結果を公表した。このアンケート調査は、社会保障に対する国民の意識や世代ごとの意識の違いなどを検証し、平成23年版厚生労働白書の作成等に当たっての資料を得ることを目的として平成23年2月に実施された。
調査は、全国の約8万人のモニターから年齢、性別による構成比に応じて2,300人を無作為に抽出し、郵送による質問票の配付と回収により行われ、回収率は58.3%となった。
主な調査結果のポイントは、以下のとおりである。
■知ってる窓口と利用した窓口
知っている社会保障関係の窓口と利用したことのある社会保障関係の窓口を比較すると、知っている割合が高い窓口ほど利用している割合も高くなる傾向にある。国民生活に直結する「年金事務所」が68.6%と最も高く、次いで「ハローワーク」57.7%、「市区町村の社会福祉部」53.9%の順に認知度が高くなっている。
一方、「児童相談所」や「婦人相談所」、「労働関係」は相対的に認知度は低くなっている。
■制度の認知度と利用経験
「医療保険制度利用における健康保険証の提示」、「失業給付における手続き」の必要性については、それぞれ93.7%、86.5%と高い認知度を示したものの、「生活保護における手続き」、「要介護認定における申請」、「年金受給における請求書提出」の必要性については、半数をやや超える程度の認知度に留まっている。
■今後の給付内容についての意識
今後の社会保障の給付内容についての意識では、「現状は維持できない」と否定的な回答が占める割合が61.3%と最も高く、「現状は維持できる」と肯定的な回答が占める割合は25.7%となっている。
年齢別にみると、40歳代や50歳代で「現状は維持できない」と回答する割合が高くなるなど、壮年層が国の厳しい現状を認識していることがうかがえる。
■今後の給付と負担バランス
今後の社会保障の給付と負担のバランスをみると、全体では「負担増容認」の占める割合51.4%と最も高く、年齢別では「負担増容認」の占める割合は20歳代が39.7%と最も低く、年齢が上がるほどおおむね高くなっている。
■一生涯における給付と負担のバランス
40歳代以下では、半数以上が「自分が一生涯で負担した分よりもかなり少ない給付しか受けないと思う」と回答している。これに対し、70歳代では「自分で負担した分よりもかなり多くの給付を受けると思う」との回答が10%以上、「やや多くの給付を受けると思う」との回答が30%程度おり、年齢が下がるにつれて給付より負担が多くなると感じている傾向にある。
■緊急に見直しが必要だと思われる分野
性別にみると、男性が女性よりも「医療制度」、「年金制度」、「介護制度」、「子ども、子育て関連(妊娠・出産・育児支援)制度」と回答する割合が高くなっている。
年齢別にみると、年齢が高いほど「医療制度」、「介護制度」を上げる割合がおおむね多くなっている。
20〜50歳代で「年金制度」あげる割合が7割台、60歳代で「介護制度」が6〜7割台となっている。 |