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   8月から賃金日額等が引き上げ   

 
 平成23年8月1日から、雇用保険法の改正、賃金日額と再就職手当等の変更が行われた。
 雇用保険の基本手当は、労働者が離職した場合に、失業中の生活を心配せずに再就職活動できるよう支給される。「基本手当日額」は、離職前の賃金を基に算出した1日当たりの支給額をいい、給付日数は離職理由や年齢などに応じて決められている。
 基本手当の算定基礎となる「賃金日額」下限額の引き上げなどを内容とする「改正雇用保険法」が8月1日に施行されること、また平成22年度の平均給与額(「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額)が、平成21年度と比べて約0.3%上昇したことに伴い、「賃金日額」の下限額が2,000円から2,330円に引き上げとなった。
 また、基本手当日額の最低額と年齢ごとの最高額は以下のように変更となった。
(1)基本手当日額の最低額
 1,600円→1,864円(+264円)
(2)基本手当日額の最高額
 ○60歳以上65歳未満
  6,543円→6,777円(+234円)
 ○45歳以上60歳未満
  7,505円→7,890円(+385円)
 ○30歳以上45歳未満
  6,825円→7,170円(+345円)
 ○30歳未満
  6,145円→6,455円(+310)
 賃金日額等の引き上げに伴い、失業期間中に自己の労働(内職)による収入がある場合における基本手当の減額の算定に係る控除額※1は、1,295円から1,299円に引き上げられた。
※1:失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合、収入から控除額を控除した額と基本手当の日額との合計額が賃金日額の80%相当額を超えるときは、超える額の分だけ基本手当日額は減額される。また収入が賃金日額の80%相当額を超えるときは、基本手当は支給されない。
 高年齢雇用継続給付の支給限度額※2は、327,486円から344,209円に引き上げとなっている。
※2:支給対象月に支払らわれた賃金の額が支給限度額以上である場合には、高年齢雇用継続給付は支給されない。また、支給対象月に支払らわれた賃金額と高年齢雇用継続給付として算定された額の合計額が支給限度額をこえるときは、(支給限度額)−(支給対象月に支払われた賃金額)が高年齢雇用継続給付の支給額となる。
 また高年齢雇用継続給付の最低限度額は、1,600円から1,864円に引き上げられた。高年齢雇用継続給付として算定された額がこの額を超えない場合は、支給されない。
 60歳到達時等の賃金月額については、上限が436,200円から451,800円に、下限額が60,000円から69,900円に引き上げられた。 
 育児休業給付の支給限度額は、上限額が204,750円から215,100円に、下限額が30,000円から34,950円にそれぞれ引き上げとなった(初日が平成23年8月1日以後である支給対象期間から変更)。
 介護休業給付の支給限度額は、上限額が163,800円から172,080円に、下限額が24,000円から27,960円に引き上げとなった(初日が平成23年8月1日である支給対象期間から変更)。
 退職後、早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」について、給付率がさらに引き上げられた。
 給付日数を3分の1以上残して再就職した場合の給付率は、現在の暫定措置である40%から50%に引き上げられる。給付日数を3分の2以上残して就職した場合の給付率は、現在の暫定措置50%から60%に引き上げられる(いずれも恒久化)。
 障害者等の就職困難者が安定した職業に就いた場合に支給する「常用就職支度手当」については、現在の暫定措置(40%)が恒久化される。