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   地方議会議員年金の廃止   

 
 5月20日の参院本会議で、地方議会議員年金制度を廃止するための「地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案」が可決・設立、5月27日に公布された。
 地方議会議員年金は、昭和36年7月に地方議会議員互助年金法に基づく任意加入の互助年金制度として発足し、昭和37年12月に地方公務員等共済組合法に基づく強制加入の制度に移行した。
 地方議会議員年金の受給資格は在職12年、掛金は都道府県議会議員が月額報酬の13%、市町村議会議員は月額報酬の16%で、期末手当からも一定の掛金を負担している。
 給付は年金(退職年金、公務傷病年金、遺族年金)と一時金(退職一時金、遺族一時金)に分けられる。受給額は平均で年額約95万円で、年金の運営に当たっては、都道府県と市町村から約40%の公費が支出されている。
 地方議会議員年金の廃止までの経緯をみると、平成15年には地方議会議員共済会の財政状況が赤字となり、掛金率増、特別掛金率増、給付削減などの制度改正が実施された。平成18年には地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律が成立し、さらに給付削減が行われる。
 平成20年12月には、平成24年にも制度が破綻するとの試算がまとめられ、これを受け平成22年に総務省内に有識者会議「議員年金制度検討会」が設置される。平成22年11月には、地方議会議員年金制度の廃止案を諮問、平成22年12月に総務省は、全国都道府県議長会などに廃止案を提示した。
 平成23年3月には「地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会通過に至る。
 地方議会議員年金制度は今年6月1日に廃止となったが、制度廃止時にすでに退職している議員については、制度廃止前の地方議会議員年金制度による退職年金の給付が継続される。
 制度廃止時に現職議員で受給資格(在職12年以上)を満たす場合は、制度廃止前の地方議会議員年金制度による退職年金支給か、掛金と特別掛金の総額の80%の一時金支給のうちいずれかを選択することができる。
 制度廃止時に退職年金の受給資格を満たさない場合は、掛金と特別掛金の総額の80%を退職一時金とすることができる。
 制度廃止時に退職または現役のいずれの場合においても、退職年金が年額200万円を超えるときは超える額の10%が支給停止される。また、制度廃止時に退職または現役のいずれの場合においても、退職年金の年額と前年の退職年金を除く所得金額(住民税の課税総所得金額ベース)との合計額が700万円を超える場合は、超える額の2分の1に相当する金額が支給停止されるとともに、最低保障額が廃止される。
 公務傷病年金と遺族年金は、制度廃止前の地方議会議員年金制度による給付を基本として給付が行われる。制度廃止に伴う経過措置としての給付に要する費用は、地方議会議員共済会が保有する残余の積立金以外は、地方公共団体が負担することになる。
 地方議会議員年金は、市町村合併や地方自治体の行政改革などにより、議員定数が大幅に削減され、現役議員が減る一方、受給者が増加するなどの影響で財政状況が急速に悪化した。1人の議員が3人を支えるという構図となり先行きが懸念されていた。