去る5月2日に、国会において「震災財政法」が設立・施行され、現在では事業主や被保険者、年金受給者にかかる特例措置が多数設けられている。
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に所在地があり、多大な被害を受けた事業主については、厚生年金保険料などの納期限が延長されている。
また、毎月月末に行っていた保険料などの預金口座からの自動引き落としは、納期限が延長されている間は行われない。
前述の5県以外の地域に所在地を有する事業主でも、被災の状況により保険料の納付の猶予に該当する場合がある。
平成23年3月31日に特定被災地域に所在していた事業主(事業)が大震災による被害を受けたことにより、その会社に使用される被保険者の今年の3月から平成24年2月までのいずれかの月に受けた報酬の額が、その人のその月の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて著しく低下した場合には、その著しく低下した月から、低下した報酬額に基づいて標準報酬月額を改定することができるようになった。
適用事業所の事業が大震災による被害を受けたケースとは、次のとおり。
@大震災により適用事業所が損壊するなど、直接的な被害が生じている場合
A事業の実施に必要な電気、ガス、工業用水などの施設の被害や、搬入道路の遮断などにより被害が生じている場合
B原子力災害対策特別措置法に基づく警戒区域、計画的非難区域または緊急時非難準備区域に平成23年3月11日において現に事業所が存在していた場合
なお、原災法に基づく屋内待避指示の対象地域に、平成23年3月31日において現に事業所が存在していた場合は、同年6月末日までは特例の対象となる。
C原災法に基づく食品の出荷制限により被害が生じている場合
Dその他前記@からCに準じた理由により適用事業所の事業が大震災による被害を受けた場合であって、その被害の状況を総合的に勘案し、非可避的に休業などを余儀なくされたと判断される場合
などである。
また、「報酬の額が著しく低下したとき」とは、適用事業所の事業が休業していることなどにより、給与が支払われていないか、低下した報酬額に基づく標準報酬月額等級と低下する前の標準報酬月額等級との間に2等級以上の差が生じた場合のことをいう。
休業手当が支払われている場合、休業手当は報酬に該当するため、報酬の額を計算する際には休業手当の額も含まれる。
被災地域において震災による被害を受けたことにより、事業所の被保険者に対する賃金の支払いに著しい支障が生じている場合には、厚生年金保険および健康保険の保険料の免除ができることになった。
報酬の支払いに著しい支障が生じた場合とは、事業の全部または一部が休業していることにより、概ね過半の被保険者について賃金が支払われていないか、または標準報酬の下限(厚生年金保険98,000円、健康保険58,000円)以下の賃金しか支払われていない場合となっている。
保険料の免除に該当しない場合であっても、被災の状況などにより保険料の納付の猶予に該当する場合がある。
なお、被保険者証を紛失しても、医療機関での受診は可能。協会けんぽの場合は、再交付されるまでは避難先の最寄りの年金事務所で、被保険者証の代わりとなる「被保険者資格証明書」の交付を申請できる。
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