現在、実際に支給されている年金額は、平成11年から平成13年までの物価が1.7%下落したにも係わらず、平成12年度から平成14年度の年金額を据え置いた物価スライド措置の経緯から、特例的に本来より高い水準で支払われている(特例水準)。
特例水準の年金額は、物価が上昇しても据え置く一方で、物価が直近の年金額改定の基となる物価水準(平成23年度の年金額については、平成17年の水準)を下回った場合は、その分まで引き下げられる。
また、法律上想定している年金額(本来水準)は、物価や賃金の上昇や下落に応じて、増額または減額されることになっている。
平成22年の全国消費者物価指数の対前年比変動率はマイナス0.7%(平成23年1月28日総務省発表)となったが、直近の減額改定が行われた平成18年の前年である平成17年の物価指数に比べて0.4%の下落となった。
このような場合は、法律の規定により平成23年度の年金額は0.4%の引き下げになる。また、平成23年度の老齢厚生年金の計算でスライド率が用いられるが、その率は0.981となった。
在職老齢年金の計算で用いられる支給停止調整開始額(28万円)は、標準的な給付水準を基に設定されており、年金額と同様の方法で改定される。また、支給停止調整変更額(47万円)は、現役男性被保険者の平均標準報酬月額を基に設定されており、名目賃金の変動に応じて改定される。
以上のルールで計算した結果、平成23年度おいては28万円には変更はなく、47万円については、平成22年名目賃金の下落(マイナス2.0)により、46万円に改定となった。
なお、平成23年度の国民年金保険料は、平成22年度の15,100円から15,020円となり制度始まって以来の引き下げとなった。
→平成23年度の年金額
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