社会保険の今ホットな話題

 
   健康保険法等改正案が成立   
 
平成18年6月14日、患者負担の引き上げや健康保険の再編を柱とする医療制度改革法案が成立しました。
改正法の概要は下表のとおりとなっており、平成18年10月から20年10月にかけて順次実施される予定です。
健康保険法等改正法の概要(平成18年6月14日成立)
平成18年10月実施予定
改正項目
改正内容
70歳以上の高齢者の自己負担割合の見直し 一定以上の所得のある70歳以上の患者(現役並み所得者)の療養の給付に関する一部負担金の割合を、2割から3割へ引き上げる)。〈老人保健法の対象者を含む〉
※現役並み所得者:月収28万円以上(サラリーマンの場合)・課税所得145万円以上の高齢者
入院時生活療養費の創設 療養病床に入院する70歳以上の患者(特定長期入院被保険者に、生活療養(食事、居住に関する療養)の給付を創設し、介護保険と同額の食費・居住費の一部負担を求める。
保険外併用療養費を創設し、特定療養費は廃止する
(いわゆる混合診療制度の創設)
保険外の診療と保険診療とを併用した場合でも、保険外の診療が「評価療養」または「選定療養」と認められれば、保険診療の部分については保険外併用療養費が受けられる。患者は療養の給付と同じ負担割合の一部負担をし、保険外の療養については全額自己負担となる(被扶養者は同様の給付が家族療養費として受けられる)。
※)評価療養:厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきか否かについて適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として同大臣が定めるもの
※)選定療養:被保険者の選定による特別の病室の提供その他厚生労働大臣が定める療養
埋葬料等の死亡給付を、見直し 埋葬料(家族埋葬料)の給付を一律5万円とする。
同時に埋葬費の支給限度額も5万円とする。
出産育児一時金の給付を見直し 出産育児一時金の額を30万円から35万円に引き上げる。
高額療養費の自己負担限度額を見直し 高額療養費の自己負担限度額について、低所得者に配慮しつつ、賞与を含む総報酬制に見合った水準に引き上げる
地域型健康保険組合の設立を認める 同一都道府県内における健保組合の再編・統合の受け皿として、企業・業種を超えた地域型の健保組合の設立を認める。
平成19年4月実施予定
改正項目
改正内容
標準報酬月額の上下限の改定等 標準報酬月額の上限及び下限にそれぞれ4等級追加する。標準賞与額の上限を、年度の賞与の累計額540万円(従来は支給毎に200万円)とする。
任意継続被保険者の給付の見直し 任意継続被保険者に対する、傷病手当金及び出産手当金の給付を廃止する。
傷病手当金・出産手当金の額の見直し 傷病手当金・出産手当金の額を、標準報酬日額の3分の2に相当する金額(従来は60%)とする。
資格喪失者の出産手当金を廃止 資格喪失後6月以内の出産者に支給していた出産手当金を廃止する
平成20年4月実施予定
改正項目
改正内容
後期高齢者医療制度の創設 75歳以上(寝たきりは65歳以上)の高齢者は、(老人保健制度を改め)後期高齢者医療制度の被保険者となる。療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費等の支給を同制度から受けるとともに、所得水準に応じ、1割もしくは3割の一部負担金を負担する。
前期高齢者財政調整制度の創設 65歳以上75歳未満を対象に前期高齢者医療にかかる財政調整制度を創設し、平成26年度までに現行の退職者医療制度を廃止する。ただし、同制度の対象者は従来までの制度に加入し続け、一部負担割合も従前と同様とする。
院時生活療養費の対象年齢を65歳とする 前期高齢者医療制度の創設と併せて、入院時生活療養費の対象年齢を65歳(従来までは70歳)に拡大する。
70歳以上の被保険者等の一部負担割合の見直し 70歳以上の被保険者・被扶養者の医療費の自己負担割合を1割から2割に引き上げる(ただし、現役並み所得者は3割)。
乳幼児に適用する一部負担割合の対象を拡大 乳幼児に対する一部負担軽減(2割)の対象年齢を3歳未満から、義務教育修学前までに拡大する。
高額介護合算療養費制度の創設 療養の給付等の一部負担金額と介護保険の利用者負担額の合計額が著しく高額となった場合、高額介護合算療養費を支給する。
一般保険料率の設定 一般保険料率は、基本保険料率と特定保険料率を合算した率とする。
健康保険組合の一般保険料率の上限改定 健康保険組合が管掌する健康保険の一般保険料率の上限を1000分の100とする。
平成20年4月実施予定
改正項目
改正内容
後期高齢者医療制度の創設 75歳以上(寝たきりは65歳以上)の高齢者は、(老人保健制度を改め)後期高齢者医療制度の被保険者となる。療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費等の支給を同制度から受けるとともに、所得水準に応じ、1割もしくは3割の一部負担金を負担する。